3月7日、東京医科大学病院で開催された第3回JEPTIC(日本集中治療教育研究会)セミナーに参加してきました。
JSEPTICセミナーへの参加は第1回に続いて、今回が第2回目でした。
第1回目と比べて、今回はテーマを絞った講演内容となっており、今回は「AKI(acute kidney injury)」についてでした。
12:00-12:05 「開会の辞」 聖マリアンナ医科大学 救急医学 藤谷茂樹 先生
12:05-12:50 「AKIのRIFLE診断」 東京慈恵会医科大学 ICU 内野滋彦 先生
13:00-13:50 「AKIのマネージメント」 聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科 柴垣有吾 先生
14:00-14:10 「タゴシッド」 アステラス製薬
14:10-15:00 「AKIのバイオマーカー、AKI治療薬の将来的展望」 東京大学 腎臓内分泌内科 土井研人 先生
15:10-16:00 「AKIにおけるCRRT」 東京慈恵会医科大学 内野滋彦 先生
16:15-17:15 「症例呈示:M&MとEBMからのアプローチ、治療不応性の肺炎のアプローチ」 茅ヶ崎徳州会病院 田口瑞希 先生
「AKIのRIFLE診断」
・急性腎不全の定義に対する混乱があった。
・定義と予後
・sensitivity vs specificity
・Acute on chronic renal failure:ベースラインの違い、Crの絶対値or相対値、相対値の問題点
・Baseline Creatinine:ベースラインが分からない人もいる(緊急入院など)、不明例への対応(MDRD)
・The RIFLE criteriaについて
・Acute kidney injury network(AKIN)
・impact of small Cr rise on mortality:0.3-0.5の上昇でも甘くみてはいけない
・Comparison of RIFLE and AKIN:あまり大差ない
・KDIGO(Kidney disease improving global outcomes):AKIについてのガイドラインを出す予定
・AKIに対する治療の現状:DICと同様に予後を改善する治療法はない。
・AKIのcriteriaやbiomarkerは臨床では使えない(リサーチの手段)
・Crの軽度上昇に対する感覚は大事
・Acute Kidney Injury - Epidemiologic Prospective Investigation
http://akiepi.org/・どんな定義でも必ずけちが付く。
「AKIのマネージメント」
・AKIの原因:院外の70%が腎前性、院内になると腎性が増える(non ICU-55%,ICU-80%)
・腎後性は最初に鑑別する:早期診断&治療が大事。
・AKI診断における超音波検査の有用性:
腎後性(両側水腎症)→泌尿器科、CTなどによる閉塞機転確認、腎ろう・尿管ステント、膀胱ろう、尿道カテ
腎前性~早期ATN(虚血による皮質浮腫、腫大)
進行したATN(皮質輝度上昇と相対的髄質輝度低下)
Acute on Chronic(腎の萎縮-皮質輝度上昇+相対的髄質輝度低下
・水腎症=AKIの原疾患??:片方だけなら別の原因があるかも!?両側確認する
・ドップラー超音波の有用性:進行したAKIでは拡張期血流がおちる。
・尿所見の重要性:
腎前性(尿沈渣-異常なし、FENa-<0.1-1%)、腎性(atn-顆粒円柱,maddy>
・高齢者では半月体形成腎炎が多い。
・血清Crのみかた:GFRが極端に下がってもCrは徐々にしか上がってこない⇒GFRが回復してもしばらくCrは上昇し続ける。
・AKIでは水による希釈、低栄養などにより見かけ上、低値になりやすい。
・腎後性:排尿障害(腹部症状)、腎前性:脱水・低血圧(バイタル異常)、腎性:腎毒性物質(動脈硬化-コレステロール塞栓症)
・見かけ上、Crを上げる薬物:タガメット、アルダクトン、バクタ、ベネシッド
・AIN:H2 blocker/PPI、利尿剤、アロプリノール、けいれん薬、漢方
・心臓手術:低血圧、感染症、造影剤、血管クランプ-横紋筋融解、コレステロール塞栓
・VitaminD/Ca(高Ca血症) and/or NSAIDs
・腎は脳や心臓と比較して、より高圧環境が必要である。
・高齢→動脈硬化・血圧低下→腎血流低下(輸入細動脈が開きにくい)
・正常血圧性虚血性AKI:明らかな血圧低下のエピソードを認めない虚血性AKI。腎還流Autoregulationの破綻。
・Septic AKIにおけるhemodynamics:腎血流自体は保たれていても、輸入細動脈の極度の拡張により、GFRは低下する。
・Septic AKIではATNが多い??
・診断:
Cr↑・GFR↑→エコー(腎後性、CKD合併、AKIのハイリスク)・尿沈渣(腎炎→生検)→FENa・バイタル・体液量・薬
・体液量の維持(等張液)-CVP 8-12mmHg、血圧の維持、腎毒性物質中止
・膠質液vs晶質液。HESはAKIを悪化させる可能性あり。
・ARDS等合併時、MAPや循環動態が保たれている限りはドライサイドで管理してよい。
・ノルアドは腎虚血を起こす??→ノルアドは腎血流を逆に増加させ、GFRを維持する→Sepsis,AKIでは積極的にノルアドを用いて、十分な昇圧を図るべき。
・RRT依存のタイミングが早期になっている
・pH<7.2(陰性変時作用↑、前負荷/後負荷↑)、循環動態が不安定or急速に進行する病態(組織虚血に伴う乳酸の進行性蓄積、コレラなどの重篤な下痢による持続的な重炭酸イオンの喪失)
・換気補助、十分な補液、心機能補助が大切
・pH<7.2をみたら呼吸性アシドーシス合併を疑う。
・ラシックス:1.大量ボーラス(100-200mg)でも効果なければ諦める(効果あれば持続投与へ) 2.フロセミドは使用を中止し、輸液をしぼる 3.体液過剰がある場合はRRT
・renal dose dopamineは意味ない(血圧をあげる作用はあるけど、それならノルアドを使ったほうがよい)
・体液量過剰で血圧など循環動態が安定している人はハンプ良い。
・N-アセチルシステイン、ビタミンC、バイカーボ
「AKIのバイオマーカー、AKI治療薬の将来的展望」
1.Overview of AKI biomarker
・AKIの機序:虚血と炎症が想定されている
・障害の主たる部位は尿細管上皮細胞である(急性尿細管壊死)
・尿細管上皮細胞は再生能力が高い⇒AKIにおける可逆的要素
・近年、尿細管上皮細胞の障害をGFR低下よりも早期に検出するというバイオマーカーが開発されている。クレアチニン、シスタチンC、NAG、β2-MG、α2-MG、NGAL、L-FABP、KIM-1、IL-18、IL-6
2.Animal model development of sepsis induced AKI
3.Potential therapeutic targets of sepsis induced AKI
4.Limitation of serum creatinine in sepsis
「AKIにおけるCRRT」
・△Blood Purification ○Renal Replacement Therapy(RRT)
・Continuous Veno-Venous Hemofiltration CVVH=CHF
・CVVHD=CHD CVVHDF=CHDF
・CVVH 52.8%,CVVHDF 34.0%,CVVHD 13.1%,CAVHD 0.1%
・Mode CRRT(CHF vs CHDF vs CHD):拡散dialysis(濃度差)-小分子ok(中分子苦手)、限外濾過filtraion(圧力)
・フィルターライフの違い:CHF-CHDF-CHDとTMPが低下するにつれて、膜の目詰まりが起こりにくくなりフィルターライフは延長する。
・予後に与える影響:
予後をアウトカムとした研究はない
中分子の除去が予後を変えるかは不明
フィルターライフは短くてもいいから中分子も含めてしっかりと除去したい⇒CHF
中分子の除去の利点は不明なので、フィルターライフ延長を優先する⇒CHD
複雑なのがすき!?⇒CHDF
・Anticoagulation for CRRT:Heparin(世界の主流)、no Antigoagulants、nafamostat mesilate(日本で多く使われているが、エビデンスはない)
・ヘパリンを使うとフサンより出血が増えるはウソ(差はない)
・コストはヘパリンの方が良い。
・フィルターライフはフサンの方が良い。
・クエン酸(Caキレート剤)によるCRRT:
フィルター前にクエン酸を血液中に投与することによりカルシウムがキレートされ抗凝固作用を発揮する。
明らかにフィルターライフが長い(~5日)
出血が起こらない
バッファーとしても使用可能(重炭酸・乳酸の代わり!?)
4%チトラミン 500ml(クエン酸製剤、扶桑薬品)
・クエン酸のまとめ:
フサンに匹敵するフィルターライフ
安い(ヘパリンより安い)
出血(-)
肝不全には要注意(肝代謝、測定できないので知らないうちに蓄積⇒肝不全)
低Ca血症、アルカローシス、高Na血症などの合併症に注意
・フサンは良い薬:
高K血症・好中球減少などあるが、ほとんどない
十分な量を使用すれば、フィルターライフ長い
APTT/ACTが延びても出血なし!?
クエン酸のような禁忌がない
高価、比較試験がない、出血しないという根拠なし
・intensity(使っている水の量!?):
置換液の使用量:Better outcome with increased intensity
Intensity of Renal Support in Critically Ⅲ Patients with AKI
randomised evaluation of normal vs Augmented Level replacement Therapy(RENAL) trial
treatment dose:2L/hr,corrected dose:20.4ml/kg/hr(日本 10-16.7ml/kg/hr)
・Non renal indication
sepsis shock(市販フィルター+通常置換液)⇒CRRTをやってもsepsis予後変わらないor悪くなる(high volumeだと血圧があがっていいかも!?)
High cut off hemofiltar(特殊フィルター)⇒サイトカイン下げる、血圧上げる、生命予後は不明
・まとめ
日本のCRRTは進んでいるわけではない
CHDFしなくても良い
フサンでなくても良い
high flow(35ml/kg/hr)にしなくても良い
None renal indicationはしない
「症例呈示:M&MとEBMからのアプローチ、治療不応性の肺炎のアプローチ」
74歳、男性 浴槽で意識消失、発熱、嘔吐した状態で発見された。
誤嚥性肺炎を疑われ加療されたが、改善せず亡くなった症例。
エンピリックな抗生剤選択、MACの診断と治療、肺炎以外の鑑別などを議論した。
Mortality rates according to initial empiric antibiotic therapy!