医師確保へ総合医養成 宮崎大医学部
2009年02月04日 医師不足対策として、宮崎大学医学部(清武町木原)は4月、同大学医学教育改革推進センター内に全診療科に対応できる「総合医」を養成するため「地域連携室」を設置する。養成した医師を県内の公立病院などに派遣したい考え。同医学部はこれまで高度専門医療を担う専門医の育成に取り組んできたが、医師不足の中、専門外の診療に駆り出される専門医の負担が増加。辞職するケースも多く、打開策が求められていた。
この記事をどのように捉えるか。
ある医師は「全診療科をみるなんて無理。何でもできる=何もできない医者だよ。」と言った。
しかし、本当にそうか・・
確かに、全診療科にわたる100%の知識・技術を得る事は不可能であると思われるが、それぞれに対して60~70%の知識・技術を得る事は可能であると思う。
我々医師は国家試験を受ける時点では特定の分野だけの知識を要求されるわけでなく、全診療科にわたる知識を要求され、それを全医師が勉強してきたはずである。
単純にその延長線上と考えるのは浅はかであるかもしれないが、そのような医師もまた必要であると思う。
特定の分野では100点だが、他の分野では20~30点、ある分野では80~90点で他は50点くらい、すべての分野で60~70点くらい・・
色んな医師がいていいと思う。
医師といっても働く病院・地域・国で求められる知識・技術は異なっており、それぞれの医師はそれぞれの場所でそれぞれの能力を必要とされている。
医師個人の立場から考えれば、自分の興味ある分野の診療や研究に打ち込むのは当然の事であり、よりその専門性を高めたいと思うのは当然の事である。
同時に、その専門性を高めたいとの要求と同じように、より広い分野の知識を得たいとの要求もまた当然である。
今、厚生省や医師会を中心に家庭医(かかりつけ医)について、色々と議論されている。(参考:医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究)
自分が働いている村に病院は一つしかない。
当然、ここの村の人にとってのかかりつけは当病院である。
そこに選択の余地はないが、必ずしもそれが不幸な事とは限らない。
僻地にいるからこその良いところがそこにある。
自分はまだここに来て1年足らずであるが、院長は10年近くになり、今年定年を迎える看護師長はずっとここで働いてきた。
職員と患者との距離は大変に近く、近所の人であったり親戚同士であったり、何かしらの関係がある。
だから、救急の患者さんが運ばれてきても直ぐにどこの誰だか分かるし、家族にもすぐに連絡がとれる。
カルテを見れば、今までどんな病気にかかり、どんな病気で入院したか、どこの病院にかかった事があるのか、家族・子供は何人いてどんな生活をしているのか・・
カルテの中には病気だけでなく、その人の生活の記録が残されている。
さらに同じ村・地域の中に住む患者であるので、その地域ではどんな習慣があるのか、どんな病気が流行しているのか、どういった介護・福祉サービスがあるのか・・など、地域としての情報もつかみ易い。
もちろん都会の先生方の中にも地域に根ざして頑張っている先生はおられると思うが、都会に住んでいる住民からすれば、どのような先生が地域に根ざしてどのような診療をされているのかなどは分かりにくいのが実情である。
僻地医療の優れている点を都会の医療システムの中にも組み入れていくべきであると思う。
「地域に根ざした医者」「地域医」「家庭医」・・、どういった呼び方をしたらいいのかは分からないが、救急初期診療、慢性期管理、予防医学、学校医、介護・福祉サービスなどの地域に根ざした医療を中心としてやっていく医師・病院が必要である。
イギリスのような制度を完全に模倣する事はフリーアクセスなどの問題があるが、地域住民をシステムとしてある程度組み入れていくべきである。(イギリスでは国民は最寄りの地域のGP(General Practitioner)を探して登録する。病気にかかったときはまずGPの診察を受け、必要があれば専門医を紹介してもらい、診察を受ける制度になっている。基本的に、一生涯同じ医師の診察を受けるため、患者のデータが蓄積される。)
そうする事で、何でもかんでも県病院・大学病院に行く患者やコンビニ受診する患者などを減らす事ができ、地域内における病院としての機能分担をもっと明確にし、それぞれがもっとその役割を果たせるはずである。
大都会には病院が無数に存在するのになぜ救急患者のたらいまわしが起こっているのか・・、それはそれぞれの病院が各々の病院としての機能と役割を果たせていないからである。
医師不足問題の折、開業医が公立病院等の救急当直を交代で負担すべきとの意見もあるが、救急救命士に認められてる医療行為がまだまだ限定的なものである日本においては、搬送に時間を要する症例などを予め決められた地域医のもとに運び、初期診療および初期トリアージを行うなどのシステムを作るべきだ。
そうする事によって、病院選定を迷う事も病院をたらいまわしにする事も無く、救命の連鎖としてもスムーズである。
実際に、僻地ではたらいまわしのような事は絶対に起こらないし、搬送病院に迷う事もない。自分たちの病院で手に負えない症例は初期診療を行い、速やかに後方病院へ搬送する。
そうすれば、救命センターに患者が殺到することはないし、それぞれの病院がそれぞれの病院ですべき医療を最大限に提供し、力を発揮することができる。
自分の家族が病気になった時、気軽に相談できる先生が近くにいて欲しいものである。
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