2009年3月26日木曜日

経営形態の見直し

①地方公営企業法の全部適用
事業管理者に対し、人事、予算等に係る権限が付与され、より自立的な経営が可能となるものの、その範囲は地方独立行政法人化に比べ限定的とされる。このため、事業管理者の実質的な権限と責任の明確化に特に意を払う必要がある。
移行に伴う手続き等は、比較的容易であるが、人事、予算等の事務を病院で行うことに伴う事務負担の増大に留意が必要となる。

②地方独立法人(非公務員型)
地方公共団体とは、別の法人格を有する経営主体に経営が委ねられるため、予算や財務、組織人事管理などの面でより自律的、弾力的な経営が可能となる。
設立団体からの職員派遣を段階的に縮減するなど、実質的な自律性の確立を図ることに配慮していく必要であり、また、移行に伴う運営協議等に時間を要することに留意が必要である。

③指定管理者制度
民間の医療法人等を指定管理者に指定することで、民間的な経営の手法の導入が期待される。
導入に当たっては、適切な指定管理者の選定に留意するとともに、提供されるべき医療の内容、委託料の水準、病院施設の適切な管理等について、事前に十分な協議、確認が必要となる。

④民間譲渡
その地域において必要となれる医療が、相当期間にわたり継続して提供されるなど、地域医療の確保の面から、譲渡の条件について譲渡先との十分な協議が必要となる。

2009年3月9日月曜日

AKI

3月7日、東京医科大学病院で開催された第3回JEPTIC(日本集中治療教育研究会)セミナーに参加してきました。
JSEPTICセミナーへの参加は第1回に続いて、今回が第2回目でした。
第1回目と比べて、今回はテーマを絞った講演内容となっており、今回は「AKI(acute kidney injury)」についてでした。


12:00-12:05 「開会の辞」 聖マリアンナ医科大学 救急医学 藤谷茂樹 先生
12:05-12:50 「AKIのRIFLE診断」 東京慈恵会医科大学 ICU 内野滋彦 先生
13:00-13:50 「AKIのマネージメント」 聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科 柴垣有吾 先生
14:00-14:10 「タゴシッド」 アステラス製薬
14:10-15:00 「AKIのバイオマーカー、AKI治療薬の将来的展望」 東京大学 腎臓内分泌内科 土井研人 先生
15:10-16:00 「AKIにおけるCRRT」 東京慈恵会医科大学 内野滋彦 先生
16:15-17:15 「症例呈示:M&MとEBMからのアプローチ、治療不応性の肺炎のアプローチ」 茅ヶ崎徳州会病院 田口瑞希 先生


「AKIのRIFLE診断」
・急性腎不全の定義に対する混乱があった。
・定義と予後
・sensitivity vs specificity
・Acute on chronic renal failure:ベースラインの違い、Crの絶対値or相対値、相対値の問題点
・Baseline Creatinine:ベースラインが分からない人もいる(緊急入院など)、不明例への対応(MDRD)
・The RIFLE criteriaについて
・Acute kidney injury network(AKIN)
・impact of small Cr rise on mortality:0.3-0.5の上昇でも甘くみてはいけない
・Comparison of RIFLE and AKIN:あまり大差ない
・KDIGO(Kidney disease improving global outcomes):AKIについてのガイドラインを出す予定
・AKIに対する治療の現状:DICと同様に予後を改善する治療法はない。
・AKIのcriteriaやbiomarkerは臨床では使えない(リサーチの手段)
・Crの軽度上昇に対する感覚は大事
・Acute Kidney Injury - Epidemiologic Prospective Investigation http://akiepi.org/
・どんな定義でも必ずけちが付く。


「AKIのマネージメント」
・AKIの原因:院外の70%が腎前性、院内になると腎性が増える(non ICU-55%,ICU-80%)
・腎後性は最初に鑑別する:早期診断&治療が大事。
・AKI診断における超音波検査の有用性:
 腎後性(両側水腎症)→泌尿器科、CTなどによる閉塞機転確認、腎ろう・尿管ステント、膀胱ろう、尿道カテ
 腎前性~早期ATN(虚血による皮質浮腫、腫大)
 進行したATN(皮質輝度上昇と相対的髄質輝度低下)
 Acute on Chronic(腎の萎縮-皮質輝度上昇+相対的髄質輝度低下
・水腎症=AKIの原疾患??:片方だけなら別の原因があるかも!?両側確認する
・ドップラー超音波の有用性:進行したAKIでは拡張期血流がおちる。
・尿所見の重要性:
 腎前性(尿沈渣-異常なし、FENa-<0.1-1%)、腎性(atn-顆粒円柱,maddy>
・高齢者では半月体形成腎炎が多い。
・血清Crのみかた:GFRが極端に下がってもCrは徐々にしか上がってこない⇒GFRが回復してもしばらくCrは上昇し続ける。
・AKIでは水による希釈、低栄養などにより見かけ上、低値になりやすい。
・腎後性:排尿障害(腹部症状)、腎前性:脱水・低血圧(バイタル異常)、腎性:腎毒性物質(動脈硬化-コレステロール塞栓症)
・見かけ上、Crを上げる薬物:タガメット、アルダクトン、バクタ、ベネシッド
・AIN:H2 blocker/PPI、利尿剤、アロプリノール、けいれん薬、漢方
・心臓手術:低血圧、感染症、造影剤、血管クランプ-横紋筋融解、コレステロール塞栓
・VitaminD/Ca(高Ca血症) and/or NSAIDs
・腎は脳や心臓と比較して、より高圧環境が必要である。
・高齢→動脈硬化・血圧低下→腎血流低下(輸入細動脈が開きにくい)
・正常血圧性虚血性AKI:明らかな血圧低下のエピソードを認めない虚血性AKI。腎還流Autoregulationの破綻。
・Septic AKIにおけるhemodynamics:腎血流自体は保たれていても、輸入細動脈の極度の拡張により、GFRは低下する。
・Septic AKIではATNが多い??
・診断:
 Cr↑・GFR↑→エコー(腎後性、CKD合併、AKIのハイリスク)・尿沈渣(腎炎→生検)→FENa・バイタル・体液量・薬
・体液量の維持(等張液)-CVP 8-12mmHg、血圧の維持、腎毒性物質中止
・膠質液vs晶質液。HESはAKIを悪化させる可能性あり。
・ARDS等合併時、MAPや循環動態が保たれている限りはドライサイドで管理してよい。
・ノルアドは腎虚血を起こす??→ノルアドは腎血流を逆に増加させ、GFRを維持する→Sepsis,AKIでは積極的にノルアドを用いて、十分な昇圧を図るべき。
・RRT依存のタイミングが早期になっている
・pH<7.2(陰性変時作用↑、前負荷/後負荷↑)、循環動態が不安定or急速に進行する病態(組織虚血に伴う乳酸の進行性蓄積、コレラなどの重篤な下痢による持続的な重炭酸イオンの喪失)
・換気補助、十分な補液、心機能補助が大切
・pH<7.2をみたら呼吸性アシドーシス合併を疑う。
・ラシックス:1.大量ボーラス(100-200mg)でも効果なければ諦める(効果あれば持続投与へ) 2.フロセミドは使用を中止し、輸液をしぼる 3.体液過剰がある場合はRRT
・renal dose dopamineは意味ない(血圧をあげる作用はあるけど、それならノルアドを使ったほうがよい)
・体液量過剰で血圧など循環動態が安定している人はハンプ良い。
・N-アセチルシステイン、ビタミンC、バイカーボ


「AKIのバイオマーカー、AKI治療薬の将来的展望」
1.Overview of AKI biomarker
・AKIの機序:虚血と炎症が想定されている
・障害の主たる部位は尿細管上皮細胞である(急性尿細管壊死)
・尿細管上皮細胞は再生能力が高い⇒AKIにおける可逆的要素
・近年、尿細管上皮細胞の障害をGFR低下よりも早期に検出するというバイオマーカーが開発されている。クレアチニン、シスタチンC、NAG、β2-MG、α2-MG、NGAL、L-FABP、KIM-1、IL-18、IL-6
2.Animal model development of sepsis induced AKI
3.Potential therapeutic targets of sepsis induced AKI
4.Limitation of serum creatinine in sepsis


「AKIにおけるCRRT」
・△Blood Purification ○Renal Replacement Therapy(RRT)
・Continuous Veno-Venous Hemofiltration CVVH=CHF
・CVVHD=CHD CVVHDF=CHDF
・CVVH 52.8%,CVVHDF 34.0%,CVVHD 13.1%,CAVHD 0.1%
・Mode CRRT(CHF vs CHDF vs CHD):拡散dialysis(濃度差)-小分子ok(中分子苦手)、限外濾過filtraion(圧力)
・フィルターライフの違い:CHF-CHDF-CHDとTMPが低下するにつれて、膜の目詰まりが起こりにくくなりフィルターライフは延長する。
・予後に与える影響:
 予後をアウトカムとした研究はない
 中分子の除去が予後を変えるかは不明
 フィルターライフは短くてもいいから中分子も含めてしっかりと除去したい⇒CHF
 中分子の除去の利点は不明なので、フィルターライフ延長を優先する⇒CHD
 複雑なのがすき!?⇒CHDF
・Anticoagulation for CRRT:Heparin(世界の主流)、no Antigoagulants、nafamostat mesilate(日本で多く使われているが、エビデンスはない)
・ヘパリンを使うとフサンより出血が増えるはウソ(差はない)
・コストはヘパリンの方が良い。
・フィルターライフはフサンの方が良い。
・クエン酸(Caキレート剤)によるCRRT:
 フィルター前にクエン酸を血液中に投与することによりカルシウムがキレートされ抗凝固作用を発揮する。
 明らかにフィルターライフが長い(~5日)
 出血が起こらない
 バッファーとしても使用可能(重炭酸・乳酸の代わり!?)
 4%チトラミン 500ml(クエン酸製剤、扶桑薬品)
・クエン酸のまとめ:
 フサンに匹敵するフィルターライフ
 安い(ヘパリンより安い)
 出血(-)
 肝不全には要注意(肝代謝、測定できないので知らないうちに蓄積⇒肝不全)
 低Ca血症、アルカローシス、高Na血症などの合併症に注意
・フサンは良い薬:
 高K血症・好中球減少などあるが、ほとんどない
 十分な量を使用すれば、フィルターライフ長い
 APTT/ACTが延びても出血なし!?
 クエン酸のような禁忌がない
 高価、比較試験がない、出血しないという根拠なし
・intensity(使っている水の量!?):
 置換液の使用量:Better outcome with increased intensity
Intensity of Renal Support in Critically Ⅲ Patients with AKI
randomised evaluation of normal vs Augmented Level replacement Therapy(RENAL) trial
treatment dose:2L/hr,corrected dose:20.4ml/kg/hr(日本 10-16.7ml/kg/hr)
・Non renal indication
sepsis shock(市販フィルター+通常置換液)⇒CRRTをやってもsepsis予後変わらないor悪くなる(high volumeだと血圧があがっていいかも!?)
 High cut off hemofiltar(特殊フィルター)⇒サイトカイン下げる、血圧上げる、生命予後は不明
・まとめ
 日本のCRRTは進んでいるわけではない
 CHDFしなくても良い
 フサンでなくても良い
 high flow(35ml/kg/hr)にしなくても良い
 None renal indicationはしない


「症例呈示:M&MとEBMからのアプローチ、治療不応性の肺炎のアプローチ」
74歳、男性 浴槽で意識消失、発熱、嘔吐した状態で発見された。
誤嚥性肺炎を疑われ加療されたが、改善せず亡くなった症例。
エンピリックな抗生剤選択、MACの診断と治療、肺炎以外の鑑別などを議論した。
Mortality rates according to initial empiric antibiotic therapy!